電動車椅子ユーザーのアラフォーオヤジが新型コロナウィルスに感染して医療施設で療養した話

 こんにちは。ケア・ネット船橋の利用者Aです。今回、新型コロナウィルスに感染し、療養した体験談を少しだけ。そして、療養中あればよかったな、と感じた物や、なくて困った、持っていけばよかったと後悔した物等、経験をもとに紹介したいと思います。もし万が一の時、皆さんのお役に立てれば幸いです。もっとも、役に立たないことが一番ですが(コロナに感染しないのが一番ですから……笑)。

感染そして臨時医療施設へ

 2022年12月26日の明け方、猛烈な悪寒と頭痛、喉痛、咳、そして激しい筋肉痛と関節痛に襲われた。症状の感じとしてはインフルエンザに近い……というかそのもの。ベッドの上でガタガタ震えながら、照明とエアコンをつける。部屋が少し暖まるのを待ち、体温を測ってみると……38.9℃!?
 家の1階で寝起きしている母親に慌てて電話で連絡し、発熱したこと、抗原検査キットを廊下に置いておいてほしいことを伝えた。ちなみに電話で連絡しているのは、少しでも感染のリスクを下げるため。以降は基本的に電話やメールでしか話していない。
 廊下に置いた、という連絡を受け、検査キットを取りに行く道すがら、二階の廊下の窓を、換気をするために全開にする。外の冷えた空気が、痛む喉に刺さった。
 検査キットの長い綿棒を自分で鼻の奥に突っ込み、グルグル。反対側も同じく。検査液に浸してモミモミ……。検査用のプレートに、検査液を三滴。陽性反応が出る部分まで試薬が染み込んだ時点で、真っ赤なラインが現れた。
 一応、検査キットの説明書き通り、15分経ってから再度確認する。赤いラインがくっきりと二本。陽性。マジかよ……。

 コロナにかかってしまったものは仕方ない。とりあえず、今できることからやらなくては。
 まず、陽性だったことを母に電話で伝える。そして、ケア・ネット船橋の事務所にも電話で連絡した。しばらくぐったりしていると、ほうぼうから電話の嵐。喉が痛くてあまり喋りたくないのに……。支援相談員さんと保健所の方と交互に電話がかかってくる。
 最寄りの病院で電話診療を受けてほしいということで、検査結果を写真に撮ったものをメールに添付して送った。しばらくして病院から電話があり、ほぼ間違いなく新型コロナでしょう、ということで薬を処方してもらった。同じ町内に病院があるので、薬は薬局の方が届けてくれた。
 午後になっても電話は鳴り止まない。
 周囲へ感染させてしまうリスクも考えて、最初は一週間療養しましょう、という話にまとまった。感染者がいる場合、ヘルパーも限られた支援しかできなくなるため、家にいると日常生活が破綻する可能性が高いからだ。私自身、療養に行ったほうがいいかもしれない、と考えていたので、特に抵抗はなかった。
 それなのに!
 今度は、やっぱり自宅で療養してください、と連絡が来た。
 その理由を訊くと、ヘルパーは普通に入れるそうなので、家にいたほうがいいのでは?というものだった。さっきヘルパーが普通に入れないと困るからという話をしたばかりなのに、一体どういうことやねん!と憤るも、すでに電話はつながっていなかった。
 ああ、それなのにっ!!
 結局は、やっぱりヘルパーは入れないから療養しましょう、というものだった。しかも、療養期間は一週間のはずだったのに、十日に伸びているし!単純軟弱石頭なトンチンカンに激しいイラつきを覚えた瞬間だった。
 この日最後の電話を終えたのは、午後8時をとっくに過ぎてのことだった。
 朝から口にしたのは清涼飲料水と、バランス栄養食のゼリー飲料のみ。温かいものを口にしたかった。結局それは叶うわけもなく、ボロボロに疲れているのに眠れなくて、睡眠薬を飲んで床についた。

 12月27日、寝起きの体温は38.5℃だった。多少下がったとはいえ、まだまだ高い。
 ゼリー飲料を胃に流し込むようにして食べる。
 だるくて言うことを聞かない体にムチを打ち、療養に持っていく荷物を準備した。
 迎えの車が来たのは、午後1時少し前。民間の救急車サービスのようで、車内にはストレッチャー等が散乱していた。往路の利用料金は国が負担してくれるからなのか、運転手さんは特にこちらになんの断りもなく、高速道路を通っていった。
 電動車椅子ごと車に揺られること、約30分。地元企業の研修センターを改修した臨時医療施設に到着した。
 看護師さんの出迎えのもと、早速部屋に案内される。
 ……。
 大部屋なのは、まぁ覚悟していた。
 けど、カーテンすらなしっ!?
 プライバシー、皆無なのね……。
 ベッドが14~15床程置ける大きな部屋にちょっとした仕切りがあり、一人分は畳二畳ほど。仕切りの中には、ベッドとちょっとしたロッカー、小さなテーブル、のみ。
 テレビがないのは仕方ないとして、利用者が使えるWi-Fiが飛んでいないのは痛かった。というか、Wi-Fiが使えるというメッセージを受け取っていたので、そのつもりでWi-Fiモデルのタブレットを持ってきていたのに、ただの重たい板。動画を見て暇を潰せると思っていたので、ぽっかり空いた時間が辛い。

実際の療養生活

 朝の検温は、だいたい午前6時半頃にある。体温、血中酸素飽和度、血圧を測る。カクテル病棟(大部屋)は朝から賑やかだ。
 実は、大部屋は認知症の方や症状が重めの方など、目を離せない人たちがいる部屋だったのを後々知った。認知機能に問題がなく、自分のことは自分でできる人は個室に移れたのだ。
 ただし、その個室はビジネスホテルなどによくあるユニットバス方式で、トイレの入口にはもちろん段差が……。車椅子ユーザーの私には無理ということで、個室を諦めることになってしまった。
 トイレに関しては、かなり規模の大きい建物であるにも関わらず、車いすのまま入れる身体障害者用のトイレが一つもなかった。毎回共同トイレの洗面所で車椅子から降りて、壁伝いに歩いてトイレに入らなければならなかったのは不便で危険な点だった。
 その後、午前7時前後に朝食。仕出しのお弁当で、味噌汁やスープなどは一切なし。それどころか、温かいお茶やコーヒーすらもなくて、飲み物は常にペットボトルのお水のみ。一応、自分でインスタント食品等を持ってきて、お湯を入れてもらって食べることはできたが、そんな話、一切聞いてないもの!
 朝食後は、お昼前の検温まで何もやることがない。
 このタイミングで、シャワーを浴びに行ったり、雑談をしたり、となる。ちなみに、大部屋には湯船のついたお風呂はなく、シャワーがあるだけ。しかも、シャワー室の入り口には、お決まりのように段差があり、私は使うことができなかった。仕方ないので、看護師さんに毎日体を拭いてもらっていた。
 お昼前の検温の後、昼食。これも仕出しのお弁当で、飲み物もペットボトルのお水だけ。
 お昼を食べたあとは、長い午後が始まる(笑)。
 午後は本当にやることがない。看護師さんの手が空いているときには、肩から背中をマッサージしてもらったり、雑談したりする。けれど、そうそう看護師さんの手が空いているわけもなく、多くの時間は一人で過ごすことになる。
 私の場合は、時間もあることだし、たまには本でも読もう、と持ってきていた本に、本当に助けられた。けれど、すぐに読み切ってしまうのがもったいなくて(私は本を読むのがかなり速いので……笑)、ちまちまと、ケチるようにして読んでいたのは内緒(笑)。
 そして、現代の生活には欠かせないスマートフォンも、暇つぶしには大いに役立ってくれた。ネットサーフィン(死語?)はもちろん、ラジオアプリでラジオを聞くのも数少ない楽しみの一つだった。
 午後の検温が16時~18時の間くらい。
 18時過ぎに夕食。これもまた、仕出しのお弁当とペットボトルのお水。
 夕食を食べ終わったら、あとは寝るだけ。最後の検温を終えたら、ベッドに横になって、消灯を待つ。

持ち物について

 着替えや洗面用品などの基本的な物は省きます。

・インスタント食品
 まず、持っていきたい物筆頭にインスタント食品を挙げておきます。
 先の記事で紹介したとおり、食事は仕出しのお弁当とペットボトルのお水のみ、という可能性があるので、インスタントの味噌汁やスープ、コーヒーやお茶があると、かなり食生活が豊かになります。ついでに保温カップや小さい電気ケトル等があるとなおよし。食後のひとときをゆっくりと過ごせます。

・暇つぶし用品
 暇を潰せるものは絶対に必要です。
 本やゲーム、タブレット端末、ラジオや音楽プレーヤー等。しかし、ここで要注意なのが、Wi-Fiが使えるとは限らないということ。実際私もWi-Fiが使える前提でいたので、困ったことになりました。モバイルルーターを持っている方は、荷物に加えておくことをおすすめします。Wi-Fiモデルのタブレット端末しか持っていない、モバイルルーターもない!という方は、Wi-Fiを使えない可能性も考え、紙の本や雑誌等が荷物に入っていると安心です。

・ノート&ペン
 やることがなく暇ですから、たまには日記でも書きながら胸の内を綴ってみましょう(笑)。

・箱ティッシュ
 地味になくて困ったのが、箱入りのティッシュペーパーとゴミ袋。

・衛生用品
 ドライシャンプー等。
 シャワー室の入口に段差があることでシャワーを使えないのは、正直想定していませんでした。
 身体は蒸しタオルで拭いてもらうことで、ある程度スッキリしますが、頭はそういうわけにもいきません。とにかく痒くて、ドライシャンプーを持ってくればよかった、と後悔しました。

まとめ

 新型コロナに感染すると、体調が悪いだけでも大変なのに、方々へ連絡しなければならず、かなり大変な思いをしました。そして、周囲にも多大な迷惑をかけてしまいました。
 さらに、療養生活は退屈の極み。不便の極み。
 早く家に帰りたい、そればかりを考える十日間でした。
 やはり、コロナに感染しないのが一番!

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